
全国各地のタグチ社員たちと社内情報を共有しようと始めた社内報。
発行当初はこんなに続くなんて誰も想像しえなかったはず。
社外の人が読んでも面白い、そんな奇跡の社内報が10年を迎えて……(文・編集部)。
最初から奇跡だった?社外に配布する、社内報とは。
俗に「十年一昔」と言いますが、いまの時代の世の移り変わりの早さといったら尋常じゃありません。それでも『タグチ通信』、2015年9月の創刊から10年を迎えることができました。隔月・季刊・ギリギリ季刊という同じ冊子とは到底思えないさまざまな発行スパンで制作し、2022年にいたっては年1冊の発行のみという大干ばつも経験しました。それでもしぶとく発行を重ねることができたのも、読者であるタグチグループの社員とご家族のみなさまのおかげです。この場を借りて『タグチ通信』編集部一同、厚く御礼を申し上げます。

さて、今号で27号を迎えた『タグチ通信』。現在の編集部は経営企画室をはじめタグチグループの選りすぐりの数名に、長年雑誌の編集に携わってきた編集者A氏と、主に関西方面で活躍しているデザイナーのH氏が毎号参加します。そして、この基本メンバーに加えてカメラマン、ライター、イラストレーターなど、さまざまなクリエイターに腕をふるっていただいています。もちろんみなさん、第一線で活躍しているプロフェッショナルたち。だからこそ、『タグチ通信』のクオリティが担保できているわけです。
そもそもの発端は2015年の春に遡ります。同年4月に入社した編集長・田口詠子は密かに社内報の制作を企んでいました。当時、タグチ工業には11のグループ企業があり、200名近い社員が全国各地にいました。せっかく同じ会社にいるのに、共通の社内情報を目にする媒体が何もない。
(ここはわたしの出番……?)

WEBサイトを作るという手もありました。が、彼女は「雑誌(情報誌)」のような形体を考えていました。確実に手渡すことができるし、開けばすぐに情報にアクセスできる。冊子の体裁は、クルクルっと丸めてお尻のポケットにでも入れるような気楽なサイズがいい。紙はツルツルではなく、ざらざらでいこう。そんな感じで彼女の妄想は限りなく膨らんでいきます。しかし、肝心なのはやはりクオリティです。
(プロが作ったような、過剰にクオリティの高い冊子を作ってみたい……)
そして出来上がった第1号。あまりにも社内報とはかけ離れているような……でも、面白いから外にも置いてみよう!ということでいきなり社外にも配布することになりました。そして、発行部数は社員数の10倍の2000部に。そんな冊子が許されるのも、またそんな展開が可能なのもタグチ工業だからこそ。その後も、マニアックさとエンターテインメント性のバランスは絶妙で、「社員じゃないけど毎号読みたい」との声が全国から届くようになりました(岡山市の図書館にも蔵書されています)。かくして「社外に配布する社内報」という前代未聞のメディアに発展、社内報に新しいジャンルを確立しました。アタッチメントメーカーというニッチな製造メーカーの社内報ながら累計部数は10万部を超え(P5参照)、全国の書店やカフェ約50カ所で配布されている、それが『タグチ通信』。まさに奇跡の社内報なのです。

が、しかし、です。読み手が社外まで遠く広がっても、そしていくら社外のウケがよくても、タグチ通信はタグチの社員のための媒体です。そこのところを忘れかけていたとしたら、編集部に喝を入れてやってください。次の10年も『タグチ通信』はタグチのみなさんとともに!
「く〜っ、そうきましたか!」読み手の裏をかく、冊子の顔作り。
いかに読者=社員の予想を裏切るか。表紙はそんなマインドでアイデアを毎号捻り出す、いわば大喜利コンテンツ。Vol.1〜5は特集に関連した表紙案、vol.6からは4号で1シーズンとするルールを確立。クリエイターとキャッチボールしながら制作してきた、一球入魂の制作の歴史。