Introduction

タグチ、宇宙へ行くってよ。

報告します。タグチ工業は「はやぶさ2」で知られる あの「JAXA」と共同で研究開発を進めています。 宇宙探査イノベーションハブというやつです。冗談と思われるかもしれませんが、 これが案外マジな話で。岡山から宇宙を目指したっていいじゃないですか。 夢を追い続ける、タグチはそういう企業なのですから。

TansaX(タンサックス)とは、探査「Tansa」と未知の「X」の意を込めた、
宇宙探査イノベーションハブの愛称。

宇宙探査イノベーションハブ(TansaX)サイト

2015年4月にJAXA(ジャクサ/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)内に発足した「宇宙探査イノベーションハブ」。研究課題ごとに大学や民間企業、研究機関と連携し、実現したい技術アイデアを共同研究する新事業だ。タグチ工業は2015年12月に研究提案が採択され、2016年から参画。以降、JAXAとともに『超軽量建機アタッチメントおよびブーム等の開発および実地検証』および、『遠隔操作およびアタッチメントの自動脱着可能な軽量建機システム等の開発と実地検証』という研究テーマのもと、課題解決に取り組んでいる。

Mission1

超軽量建機を開発せよ!

研究テーマ

超軽量建機アタッチメントおよびブームの開発および実地検証

研究課題

月面拠点建設に使用する建設機械は地上から輸送するため、大型軽量化(サイズを維持した軽量化)が必要になります。地上においても、特にアタッチメントの重さが作業性の課題となっていますが未着手であり、軽量化が実現すれば燃費の改善などが期待できます。そこで、走行機構を除いた部分を対象とし、複合材や軽量金属の適用により超軽量化を実現し、剛性や車体の安定性等を検証します。

超軽量化の取り組み

軽量化する建機として地上作業での汎用性が高い「油圧ショベル」を採択しました。本年度研究において、油圧ショベル構成部品である「アーム」「ブーム」への軽量化に着手します。 現在の「アーム」「ブーム」は「鉄」が主な素材となっており、これを軽量金属や、複合材にて製作を行い軽量化を図ります。2種類の素材で製作することにより強度や剛性だけでなく、製造面等多方面からの比較検討も行います。

建機の各部名称

Progress report

軽量金属&CFRP製のパーツが完成。
実用レベルでの開発に成功だ!

軽量金属およびCFRP製のアームの開発に成功し、なおかつ、それが実用レベルであったこと。これは、タグチにとってこの上ない快挙だ。当初の目標であったオリジナルアームの約1/2〜約1/3の重量を達成しつつ、その他多くの性能項目においても、オリジナルアーム(ショベル付属の純正アーム)より高い数値を示した。つまり、オリジナルアームと同じ作業ができるだけでなく、同じ条件下なら、より多くの土を、より短時間で掘ることが可能となったのだ。今回の油圧ショベルの軽量化技術は、今後、他の地上建機のみならず、月面拠点基地建設で使用される建機への応用も期待できそうだ。

素材① 軽量金属

女性でも持てる重さになった軽量金属製アーム。中央に並ぶ穴も軽量化のための設計。重量はオリジナルの約1/2。

軽量金属とは?

比重が4または5以下の軽量な金属のこと。アルミニウムやマグネシウムなどがあり、宇宙開発ではロケットや人工衛星、輸送機器では飛行機や自動車、その他建築材料など、幅広い分野で用いられている。

軽量金属アーム

素材② CFRP

次世代を期待される「CFRP」使用のアームの完成は業界でも初めてのこと。重量はオリジナルの約1/3。

CFRPとは?

Carbon Fiber Reinforced Plastics=炭素繊維強化プラスチックの意。炭素繊維と樹脂を組み合わせた複合材料とすることで、鉄やアルミニウムよりも低密度ながら軽量で強く、高い剛性をもつ。レーシングカーのボディから釣り竿の柄の部分まで、多岐にわたる分野に導入されている。

CFRPアーム

評価試験結果

アーム完成後はショベルメーカーの協力を得て、製作した軽量アームの評価試験を実施。剛性が下がったものの強度、操作性に影響は無し。また、それ以外の項目でもオリジナルアームと同等またはそれ以上の評価を得た。研究当初の予想をはるかに超え、軽量化の効果が十分に表れているといえる結果となった。

Mission2

遠隔操作装置を開発せよ!

研究テーマ

遠隔操作およびアタッチメントの自動脱着可能な軽量建機システム等の開発と実地検証

研究課題

近年、地上での都市開発に伴う高層ビルの内装解体工事等の需要増や災害現場への対応と地上用建設機械は軽量化や遠隔化、自動化が課題となっています。一方、月面拠点基地建設を想定した宇宙用建設機械は地球上からの輸送コスト削減のため大型軽量化や無人作業を可能とする操作の遠隔化、自動化がより求められています。

そこで、本研究では建設機械用部品を従来と異なる素材で設計、試作し建設機械のサイズ、性能、機能を維持した軽量化を図るほか、建設機械の遠隔操作化、電動化、機能の自動化など新たなシステムを設計、試作し、将来の実用化を目指します。

超軽量化の取り組み

  • ①1tonクラス油圧ショベル用本体フレーム、走行部品を軽量素材にて設計、試作、評価・操作性試験を実施し、油圧ショベルの軽量化を図る。
  • ②1tonクラス油圧ショベルを遠隔操作化、電動化による走行、建設機械用アタッチメント脱着システムの自動化を設計・試作し、性能評価試験を実施する。
  • ③軽量素材にて油圧ショベル用バケットを設計、試作、性能評価試験を実施し、油圧ショベルの軽量化を図る。

Progress report

JAXAと共同開発した新装置を商品化!
油圧式ワンタッチカプラ「ワンキャッチ」誕生&販売開始

建設機械アタッチメントメーカーの株式会社タグチ工業(本社:岡山市、代表取締役:田口裕一)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙探査イノベーションハブが実施した研究提案募集に採択され、2016年より研究を進めてきました。
研究課題は「遠隔操作およびアタッチメントの自動脱着可能な軽量建機システム等の開発と実地検証」。このテーマのもとにJAXAと共同で開発を進めてきた新装置、油圧式ワンタッチカプラ 「ワンキャッチ」の販売を開始します。

ワンキャッチとは?

通常のアタッチメントの取り付け作業は、技術と経験のあるスタッフが工具を利用し、油圧ショベルの先端に直接アタッチメントを装着します。今回発表した新製品「ワンキャッチ」は、ショベルとアタッチメントの間をとりもつコネクターのような装置です。これをショベルの先端に装着することによって、油圧ショベルのキャビンからの誰でも容易に操作できる遠隔操作でアタッチメントの着脱が可能とするものです。

JAXAと共同で特許を出願した新アタッチメント

アタッチメント着脱部分は、可動しない「固定側フック」と可動する「可動側フック」の2種類から成ります。油圧式ワンキャッチは、フックそれぞれをキャビンのリモコンから遠隔操作し、アタッチメントのアーム側とリンク側の取付ピンに引っ掛けて行うことが可能です。これにより、アタッチメントの着脱作業を遠隔操作で容易に行うことができるのです。

このワンキャッチ、すなわち「12tonクラス油圧ショベル用 アタッチメント着脱装置」は、JAXAと共同での特許の出願を行っています。また、「ワンキャッチ」には、アタッチメントの脱落事故を防ぐ「オートロック機構」が装備されているのも大きな特徴です。既存の同類商品よりも、さらに安全を期したロック機構が搭載されています。

商品化達成です!
今後もタグチ工業では、建設機械の遠隔操作化、電動化、機能の自動化などの新たなシステムを設計、搭載したアタッチメントの新商品化を目指してまいります。