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イラストレーション/村上めぐみ
第4回(ガジラ通信 vol9掲載)
『時をかける少女』
監督/大林宣彦
主演/原田知世
1983年7月公開
ライター 黒住光さん

1963年岡山県生まれ。フリーライター。
映画「まほろ駅前狂騒曲」、TVアニメ「クレヨンしんちゃん」等の脚本 にも参加。

 筒井康隆の小説『時をかける少女』の最初の刊行から50年経った。半世紀の間にテレビドラマで5回、劇場用映画で4回も映像化され、日本の定番コンテンツとなっているのはご存知のとおりだ。昨年、映画監督の是枝裕和が『君の名は。』を評して「女子高生とタイムスリップという題材からそろそろ離れないといけない」と発言して物議をかもしたが、日本人はよっぽどこの話が好きらしい。

 ただし、今の人たちが「時かけ」に抱く”胸キュン・ファンタジー”的なイメージは、'83年の大林宣彦監督、原田知世主演の映画以降のことだ。私の世代にとっては、'72年にNHK で『タイムトラベラー』のタイトルで放映されたTVドラマが原点だ。胸キュンよりもサスペンス性が強調され、『世にも奇妙な物語』みたいな”ちょっと怖い” 系のSFドラマだった。

 少年少女がまだタイムトラベル物を見慣れていなかったあの頃、夕方の『少年ドラマシリーズ』枠で放映されたこの作品は好評で、続編も制作された。原作を離れたオリジナル展開の『続・タイムトラベラー』はいかにも蛇足な内容ではあったが、その最終回は強く印象に残っている。

 7世紀の未来から時空を超えて逃亡してきた科学者たちが21世紀の砂漠に秘密基地を建造するのだが、それを21世紀の人間たちが「宇宙人の侵略だ!」と攻撃する。これは「この時代の人たちは子供の頃に怪獣物の映画やテレビばかり見て育ったからだ」と説明される。つまり、放映当時の視聴者を取り巻く文化状況そのものに対する皮肉だった。

現実の21世紀の今、宇宙人も未来人もやって来ないが、安物のマンガみたいに嘆かわしいことならいっぱい起きている。こんな時代を招いてしまった世代として反省する今日この頃。うん、今からの未来はも少しマシにしようね!