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イラストレーション/村上めぐみ
第3回(ガジラ通信 vol8掲載)
『エクス ・ マキナ』
脚本・監督/アレックス・ガーランド
主演/ドーナル・グリーソン
2014年12月公開
ライター 黒住光さん

1963年岡山県生まれ。フリーライター。
映画「まほろ駅前狂騒曲」、TVアニメ「クレヨンしんちゃん」等の脚本 にも参加。

 よく言われるのが「21世紀になればクルマが空を飛ぶと思ってたのになあ……」という話。『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の時代設定だった2015年を過ぎても、 デロリアンのように空飛ぶクルマはまだ実現する気配もない。 宇宙ステーションは『2001年宇宙の旅』に出てきたような巨大建造物ではなくて、プレハブ住宅みたいにちっぽけなやつだけだ。CGの進歩でSF映画の特撮は極限までリアルになったけど、そこに描かれる未来メカのイメージはずっと「荒唐無稽なウソ」のままである。  

 しかし、物理的メカとは違ってコンピュータの進歩はかなりいい線いっているというか、逆にSFに近いぐらい進歩しすぎて我々は正直戸惑いつつある。昨年、アカデミー賞視覚効果賞を受賞した『エクス・マキナ』は、近未来のAlを描いたカルト的評価の高いSF映画だ。

 ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズを足して2を掛けたぐらい大物の天才IT社長に、一介の若いプログラマーがスカウトされる。彼に与えられたミッションはアンドロイドに対するチューリング・テスト。人工知能が本当に意識を持ち思考しているのか、それとも考えているかのような反応を模倣しているだけなのかを判定するテストだ。

 『ブレードランナー』にも描かれたテーマだが、今やもうファンタジーではない。サスペンスフルに展開するストーリーは、リアルガチにヤバい話かもしれない。また、この映画の愚かなIT社長のキャラはフランケンシュタイン博士の昔から変わらないマッドサイエンティスト像でしかなく、 Alに対して人間は進歩しないのね、とも思う。スピルバーグの『A.I.』に描かれたような、人間は滅びてAlが残る未来がSFであってくれればよいのですが。