GOOD DESIGN AWARD 2018年度にて「ガジラDSカッター」と「マグ・ゴン」がダブル受賞!「ガジラDSカッター」は同賞<ベスト100>にも選出、さらに<特別賞>受賞の快挙を達成!


別冊 ガジラ通信 グッドデザイン賞受賞記念号を読む

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MESSAGE
「ガジラDSカッター」(DSX)/「マグ・ゴン」

グッドデザイン賞 2018年度受賞

株式会社タグチ工業(本社:岡山県岡山市)は、このたび「2018 年度グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会主催)」を受賞いたしました。受賞製品は、油圧ショベル用アタッチメントである自社製品、鉄筋コンクリートカッター「ガジラDSカッター」(DSX)と、油圧発電式マグネット「マグ・ゴン」です。ガジラDSカッターは、受賞対象のなかから選出される「グッドデザイン賞 ベスト100」を受賞。さらに、審査委員会からとくに高い評価を得た優れたデザインに与えられる「特別賞/グッドフォーカス賞」を受賞しました。今回いただいた賞を励みとして、さらに皆様に愛されるアタッチメントの開発に精進したいと考えています。
DESIGN
ガジラDSカッター

鉄筋コンクリートカッター

ガジラDSカッター(シリーズ6タイプ)

| グッドデザイン審査員評価コメント

“油圧ショベルの先端を組み替えるだけで鉄骨や鉄筋を含んだコンクリート構造物を切断・圧砕するカッターになるアタッチメントである。業界トップクラスの切断力と軽量化が図られ、構造力学から生まれたその姿はとても美しく、まるでティラノサウルスの頭部を思い浮かべさせ、その存在感は圧倒的な破壊力と脅威すら感じるデザインと言える。 ”

マグ・ゴン

油圧発電式マグネット

マグ・ゴン(シリーズ4タイプ)

| グッドデザイン審査員評価コメント

“マグ・ゴンは油圧ショベルの先端に取付けるアタッチメントであるが、この製品の優れたポイントは内蔵された油圧モータによる電磁石機能にある。機能的かつ軽量コンパクトにデザインされた本体内で発電し、磁界を発生させるシステムのために余計な配線工事を必要とせずマグネット機能を即発揮させる事が可能となった。安定感があり正確性を求められる作業にもすぐに対応でき、汎用性の高いビジネス展開も期待できる。 ”
INTERVIEW

受賞記念インタビュー

機能を極めることで生まれたデザイン、
無理も無駄もないから美しいんです。

株式会社タグチ工業 代表取締役
田口 裕一(たぐち・ゆういち)
1960年岡山市生まれ。岡山大学工学部卒。
大学卒業後は東京の工作機械のメーカーに就職。
半年で退職した後、株式会社タグチ工業に入社。
93年に代表取締役に就任。

−まず、グッドデザイン賞に応募したきっかけを教えてください。 以前、他社のアタッチメントがなにかの賞を獲ったというのを聞いたことがあって、賞を販促に使うのもありだなと思ったことがあるんです。それから数年して、マグ・ゴンを売り出していこうというタイミングで賞のことをふと思い出したわけです。グッドデザイン賞にしたのは、あのGマークが製品に付いていたらいいんじゃないかと、最初はそんな軽い気持ちからでした。応募したらすぐにもらえるものと思っていたんです。ところが、いざ応募しようとして賞のことを調べていくと、とてもそんな簡単なものじゃないことがわかってきた。応募数もスゴいんだけど(2018年度で4789件)、賞自体も複雑でいろいろとある。しかもモノのデザインだけでなく、町とか福祉とか、デザインの範囲がいろんなものに及んでいる。結局、応募の一年半前にプロジェクトをスタートさせたのに、『いまから応募しても準備不足』という判断に至り、応募をさらに次の年である2018年にしたんです」
−ガジラDSカッター(DSX)も応募に加えたのはどうしてですか? 「賞のことを深く勉強していくにつれて、生半可な取り組み方では受賞できないということがわかってきた。だったら、マグ・ゴンと一緒にうちのエースも出すかということになったんです。大割を出すとか、小割を出すという話もあったんですよ。でも、『いやいや、やっぱりこれでしょ』と」
−製品ラインナップのなかで絶対的な存在なんですね。「コロッセオってわかりますか?」
−ローマの? 闘技場ですか「そうです。あの遺跡は鉄骨のないコンクリートだけの造りなんだけど、度重なる地震にも耐えて現在もその形状をほとんど残している。その堅牢さが壁にはりめぐらせているアーチの形状によるものだと大学の材料力学の講義で習ったことがあるんです。ただの半円に見えるんですけど、違うんですよ。あれ、応力と同じ形状になっているんです。要はね、理にかなっている。それって美しいんですよ。黄金比が美しいのと同じ理屈だと思います」
−コロッセオのデザインがDSXのデザインに通じると?「どちらも無理に美しくしているわけじゃないんです。理にかなったデザインを施している。例えばDSXに関していうと、鉄骨を切る際に、ハサミの先端に100トンの力がかかる。その荷重に耐えられるようにアームをデザインし、さらにそれを支えるボディをデザインする。そのデザインにはまったく無理がなく、無駄もない。だからDSXは美しいんです。逆に製品がブサイクだなと感じたら、どこかに無駄があるということです。工学的、構造力学的な話ですね。こんな話をベスト100プレゼンですればよかったかなあ」
−しなかったんですね?「話そうかどうか迷ったんですけどね。時間が4分と短いし、さっきのコロッセオの話は裏がとれていないんですよ。講義で先生から聞いたというだけでね。グッドデザイン賞が、環境とか福祉とか、いろんな側面からデザインを見るという傾向をよくよく考えていれば、無駄がないのが美しいというこのロジックで話すべきだったかなと思います。究極のエコにも通じる話だから」

建機メーカーに必要なのは
デザインでなくファンクション

−社長の考える建設機械のデザインとは?「形があるものを見たら、すべからくデザインがある。そのデザインというのは、大半が狙ったデザイン、意図的なデザインです。しかし、我々建設機械メーカーにデザインは必要ないんです。必要なのはファンクションだけ。そして、機能を極めていったら、デザインとして認められるものになっていたということです。受賞後に審査員の生の声を聞かせてもらえる審査報告会を見に行ったんです。そこで審査員の方々から『久々にデザインらしいデザインを見た』と言っていただいた。これは我々の製品のもつ意図しないデザイン、機能を極めることで生まれたデザインの美しさに言及していただいたと受け止めています」 −審査員のコメントに「恐竜の頭の骨格のようだ」というのがありました。 「ティラノサウルスね。最強の恐竜ですからね、その骨格にはやはり無駄がない。だから美しいんですね」 −そんな評価を聞いたとき、どう感じましたか? 「それは嬉しかったですよ。無駄がないものが美しいというのは常々思っていたことですから。それだけに、やはりプレゼンでコロッセオの話をすればよかったかなと……」 −今回の受賞にはどんな感想を? 「銅メダルを獲った気分です。銀でもない、銅メダルです。銅メダルをとった人が悔しいとよく言いますが、その気持ちが今回初めてわかった」 −悔しかったのですか? 「悔しい、とっても悔しい! 悔しすぎて嬉しいという気持ちがほとんどない。審査員の評価ではね、とにかくほめちぎられるんですよ。(審査会場の)幕張に入ってきたときからオーラがスゴかったとか。そこまで言ってくれるのであればなぜ金賞じゃないんだと。なぜ大賞に負けるんだと」 −大賞との差はなんだったと? 「プレゼン!(笑)」 −ひとえに、ですか? 「はい、あがり症ゆえです。半世紀の会社の歴史を背負ってプレゼンしたのに、それでこけましたという(笑)」 −Youtubeで社長のプレゼンが見られると聞いています。 「消したい、消してほしい!」 −最後に社員の人たちにメッセージがあれば。 「みんな、すまん!」 (Youtubeは見ないでくれ……)

受賞記念インタビュー

美しさは優れた
強度バランスの証です。

株式会社タグチ工業 技術本部部長
森谷 創(もりたに・はじめ)
1971年兵庫県生まれ。広島大学工学部中退。
94年にタグチ工業に入社。
95年より開発設計部(現・技術本部)。
2011年、技術本部部長に就任。

−このたびのグッドデザイン賞の受賞、おめでとうございます。 「どうもありがとうございます」 −受賞を聞いたとき、どのように感じられましたか? 「とても嬉しかったですね。いまでこそデザインとは関係のないような仕事をしていますが、学生の頃はデザインにはすごく興味がありました。そんな分野で自分たちが携わっている製品が評価され、賞をもらえたというのはすごく嬉しいことです」 −普段設計しているときに、製品の外観にはどのように気を配っていますか? 「製品を設計しているときにデザインのことは頭にありません」 −デザインを考えていない? 「はい、まったく。ガジラのような解体の現場で使用される圧砕機やカッターには、いろんなタイプの複雑な衝撃が加わるものです。そうしたものをすべて想定した強度を保持しなければならないという意味で、非常に厳しい設計だと思います。壊れることがないギリギリの範囲で機械の応力(物体に加わる外力に応じて物体内部に生じる抵抗力)を高めにとっています。なおかつ、アタッチメントの大前提として、油圧ショベルの先に取り付けるものなので軽量化しないといけない。肉をつけるべきところはつけ、不要なところはギリギリまで省く。かつてはこれを溶接でやっていました。しかし、溶接では完成後に品質を精密にチェックすることができません。内部でどれくらいの強度で溶接されているかを調べるのが難しいのです。そこで、タグチ工業で10年ほど前から採り入れているのが、厚い板から部品を削り出すという方法です。応力の高低に応じて削り出す量を変える。この応力を計算しているのが、FEM解析というソフトです。このソフトを導入したことで、ギリギリまで攻める削り出しが可能になりました。そうして決まっていくカタチが、ガジラのデザインに直結しています」 −デザインは結果であるということですか? 「その通りです。機械の基本的なデザインというのは結果です。必要とされる条件や機能を満たしていくことで決まっていくものです。しかし、これはアタッチメントの性質上そうなのであって、世の中の機械がすべてそうというわけではありません」 −なるほど。では、削り出しの手法を採用したことによって、ガジラのデザインも大きく変わったと言えますね? 「そうですね。FEM解析を導入したことが大きかったと思います」 −FEM解析について、もう少し詳しく説明していただけますか? 「これは数値解析の手法で、有限要素法ともいいます。当社は業界でもかなり早い時期に導入しました。このソフトに荷重や拘束条件をインプットすると、応力に色がついた状態でモニターに現れます。それによって、どの部分をどれくらい削ることができるかがわかるのです。FEM解析の導入以前は、応力の数値を電卓で弾き出していました。このやり方だと、ついつい安全な方をとってしまうんですね。設計者としては、壊れてしまうのがもっともコワイですから。もっと小さく、薄くできるものでも余裕をみて、大きく厚くしてしまう。当然、カタチも大きく変わってきます」 −ガジラDSカッターのカッコよさはそこからきているんですね。 「機械に関して、見た目がカッコいいなあと感じるものって、たいてい壊れないんです。人間がカッコいいと感じるものは強度バランスが優れているということなんです。人間の目って、案外信用できるものなんですよ」